風葬

俺が魔法使いになったのは、うーん、覚えてない。まぁ小さいころからこんな事してたわけじゃないしな。最初はホントに簡単な、ちょっとした魔法をばあちゃんが教えてくれて。でも気がつけばこうやって戦場にいてリーダーとして戦ってたし、人生ってわかんねーよなぁ。

 

まぁ、もう戦うこともないんだけどさ。

 

仲間を庇うってのはいままでも結構あったんだけど、今回はちょっと運が悪かったんだ。誰のせいでもねぇ、自分の事責めるんじゃねーぞ?
お前達に出会えた事はとても幸せだったと思う。俺たちは強力な魔力を持って生まれ魔法使いとして生きるしかなかった可哀想な子供だったけど、その力のおかげで最高の友達が出来たんだから悪くなかったよな。この学園に入ってからずっと一緒に過ごしてきたから、もう家族みたいなもんだよ。今までありがとう。
何もわからないまま入隊させられた二人には謝りたい。俺たちと違って普通に生きてこれたし、これから先もそうだったかもしれないんだ。お前たちは優しいし正義感が強いから、何も文句言わずに一緒に戦ってくれて、いつも俺はごめんな、って思ってた。
……ごめんと思いつつも、毎日楽しくて新しい仲間が嬉しくて仕方なかった。そう、矛盾だらけの男さ。
謝ることも感謝の言葉を伝えることもなく無言でさよなら、なんて寂しすぎるって。せめて俺らしく笑顔でふざけた事言ってさよならってしたかったな。
伝えたい事は全部風に乗って何処かにいっちまう。そして誰にも届かないまま消えてくんだろうな。

 

そろそろ終わりの時だ。ああ、あのクイズの答え?教えるの忘れてた、ごめん!
お前たちならきっと……。


教えねぇよ教えてやるもんか一生考えろ一生忘れさせねぇ答えを胸にしまったまま俺はあの世に逝くのさ


(お題:選択式御題様)